2013年11月12日火曜日

クリエイティブ・コモンズの「非営利」の定義について考える。

作品に対してCC-BY-NCのライセンスが付加された場合にどのような利用があり得るかを営利、非営利の観点から分類、分析してみる。

要素としては、報酬が発生するか、利益を目的としているか、利用者が対価を支払うのか、提供者が対価を受け取るのか、というものが考えられる。
これらのYESかNOである程度分類できるのではないだろうか。

いちいち書くのが面倒なので、クリエイティブ・コモンズ風にそれぞれをアルファベット2文字で表してみる。
RE,PR,PY,SL
それぞれRemuneration,Profit,Payment,Salesからとっているが、少々意味が苦しいのは見逃して欲しい。

NC-0
まずは、すべてNOの場合を考えてみよう。
ただ、1つ目のREを厳密に定義するとなると、結構この条件をみたすのは難しいことが分かる。
例えば、どのような形であれインターネットで公開するとサーバーを利用することになり、これを借りている場合はたとえ無料でも貸している人が何らかの形で報酬を得ているだろう。更に自宅でサーバーを運営している場合でもプロバイダを利用しているならばそこで支払いが発生している。
このようにインターネットでの公開は絶望的だろう。
サーバーやプロバイダへの支払いをも報酬の発生と取るのはいささか極端だといえるかもしれないが、白黒つけるためにライセンスはあるので厳密に考えなければいけない。
すると、報酬が発生しないように公開するには、自宅の玄関に貼っておくとか、道で演奏するとかしか無いだろうか。

NC-RE
これは比較的多く見られる公開方法だろう。
インターネット上であれば、YouTubeに広告を設定しないで投稿したり、自分のサイトやブログに載せているような状態だ。
またオフラインの場合は、場所を借りて無料のコンサートや展示会を開くのもこれに当たる。

NC-PR
先ほどNC-0で上げたもののうち広告として機能するものがこれに当たるだろう。ただしそれは支払いが発生しない方法でなければならない。

NC-RE-PR
企業が行う対価を取らない活動がこれに当たる。一般的な広告など。

NC-RE-PY
PYがつくと必然的にREもつくことになる。
これはどのようなケースだろうか。あまり思いつかないが、例えば販売されている本の挿絵を無償で提供した場合などがそうだろうか。

NC-RE-PR-PY
上記の場合で、提供した挿絵が自分の他の活動の宣伝になっている場合など。

NC-RE-SL
非営利団体が報酬を貰って無償で活動する場合。
例えば自治体が非営利団体を招いて、市民向けのイベントを開催するなど。

NC-RE-PR-SL
インターネット上では、自分のブログやサイトに広告やアフィリエイト(ここでは特に区別しない)を掲載した上での公開や何処かから報酬を貰って無償のイベントを開催するなど。
テレビでの使用もここに入るだろう。

NC-RE-PY-SL
非営利団体が作品を販売する場合。
他に当てはまるケースはあるだろうか。

NC-RE-PR-PY-SL
普通に何かを売る場合。

全部で10通りあるが、どれをCCにおける非営利とすればいいのだろうか。
また今回、個人が売上を得る場合はその額にかかわらずすべて営利目的であるとしたが、これについても議論は有るだろう。
伊藤穣一氏も言っていたが、結局皆がどこまでは許せるのか、という肌感覚が重要になってくる。
そして最もメジャーなものを採用すべきだろう。
ただ一方であまり曖昧になってしまうとライセンスの意味が無くなってしまう。

軽々と非営利(非商用)の場合のみ使用可という文言を使っている人が多いように思うが、彼らは具体的にどのように考えているのだろうか。

また、そもそもなぜ自分の作品に非営利ライセンスを付加したいのかという問題もあるので次はその辺について考えてみたい。

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